動画はCG等作り物ではなく、人間を撮影
(CG作成技術面の問題から前提から排除)
VRゴーグル(ヘッドセット)込みのVR動画ではなく、360度視点移動できる360度動画を前提。
(簡易的な物にしたとしてもゴーグルを付けてまで動画を見る文化が育ってない為)
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ゴーグル無しで視聴出来て視点を変えられる360度動画もまだ育ってはいない。
ゴーグル有り勢を捨てる訳ではなく、ハードルを下げてゴールグ無しも対象に含める。
360度視点移動可能な動画を見て回った結果、海の中などの自然の風景だと360度の視点移動は有効だと感じる。CG映像にしても同様。
(個人的には視点移動できるホラー系の動画は面白みを感じた)
360度動画を作成するにあたって、視点を変えたい(後ろが見たい)と思う場所や状況である事が絶対的に必要。
それに対してアーティストのLIVEやPVは、視点を変えたいと思えるのかどうか。
この疑問に対して、複数の動画を視聴して感じたカメラの配置に関してのまとめ。
アーティストのLIVE(PV)を360度撮影(配信)する場合
- ボーカルの前(客席最前列中央)
- 客席中央部分
- アーティストの立ち位置
- カメラを移動させながら撮影
- 円形にカメラを囲む形でメンバーを配置
- 複数台で撮影してスイッチング
Q撮影する場所 最前列にカメラを置いた場合
●●サンプル●●
アーティスト名ダウト
撮影場所、多分高田の馬場AREA
- 視点移動可能
- 撮影が小規模
- 360度視点移動可能だが、客席側(機材)を見る人はいなそう
- スイッチング無しの定点撮影
動画をみた印象。
折角の最前列の視点にも関わらず、定点なので臨場感にかける。
(見る側がノリに合わせて動いたりなどで生じる振動がないなど)
ただし臨場感に関しては、ジェットコースターなどのアトラクションのVRが視聴回数が高いので、ゴーグルがあれば振動とかなしの映像と音だけで十分楽しめるのかもしれない。
正面からの定点(正確には360だが)なので、PVのような視点変更やエフェクトが一切ないので退屈。
(既にアーティストのファンなら楽しめる可能性があるが、これをキッカケにファンになるかどうか微妙。すでにファンでも何度も見るかは微妙)
最前列にカメラを置いた360度のLIVE動画は大手アーティストもやっているが、「動画を見た印象」に関しては同様。
大手アーティスト(ももクロなどのスタジアムクラスのアーティスト)の場合
好きなアーティストだけを見続ける事が出来るにはメリット
一般のLIVE映像ではカットの都合で他のアーティストが映り、見たいアーティストが映っていない瞬間でも、360度の視点移動で好きなアーティストを追いかける事が可能。
ただしそのメリットをもってしても、通常の動画に比べて視聴回数は上がっていないので需要は高くはないと判断できる。
そもそもこれらのメリットは対象(アーティスト)が極めて規模が大きい場合のみ。
スタジアムクラスで近くで見る事が出来ないからこそのメリットなので小規模なバントやアーティストではこのメリットをメリットとして感じられるほどではない。
(スタジアムのステージ上の視点と言う極めて特殊な環境がメリットに大きく影響しそう)
●●サンプル●●
LIVEではなくPV撮影のサンプル
ジャンルアイドル
アーティスト名clipclip
- 視点移動可能
- 撮影が小規模
- 360度扱いだとは思うが、メンバ―側のみで反対は映像無し
- スイッチング無しの定点撮影
動画を見た印象
フレームアウトしたメンバーに視点を向ける事が出来るが、メンバーの基本立ち位置を少し後ろにしておけばフレームアウトする事がない。
一般的なPVに比べて、メンバーとカメラの距離が近く感じる撮影を行っているが、視点移動の可否とは無関係で、通常の撮影でも距離が違い撮影は可能。
総じて視点を移動させる事で得られるメリットがあまりない。
Q撮影する場所 客席中央部分
客席中央から360度で撮っても、横や後ろを見たいと思わない。
横も後ろも客(一般人)。←見てどうする。
客席中央で撮影した動画はフェスなどの動画で見かけられるが、大体はステージがよく見える距離ではない。
ステージ以外は一般人(客)が映るだけなので、そこに視点を向けようとは思わない。
Q撮影する場所 アーティストの立ち位置
5人バンドでそれぞれのメンバーの立ち位置で360度撮影した場合。
(カメラ5個でスイッチング無し(5個の映像)を想定)
正面を向くメンバーを横から見る事が出来るのはメリットかもしれない。
だがしかし、見栄えがいいのは正面からだよね…って話。
また、この撮影方法では360度のメリットを活かしきれない。
活かしきれない理由
メンバーの立ち位置からクルクル視点を変えたいと思うかな…。
メンバーがかっこよく映ってる姿がみたいと思う場合、360度ではない映像(カメラワーク)の方がかっこよく見える。
最初は興味本位で視点を動かしたりしたとしても、最後まで見るのか、また2度3度見ようと思うのか。結局は通常のLIVEやPVを見る事になりそう。
Q撮影する場所 円形にカメラを囲む形でメンバーを配置
地下アイドルとかが採用しているケースが増えているような気がするが、正面からダンス含め全体を見る映像の方が「いい出来」に見える。
円形に配置して360度撮影した場合、1つの視点では1人のみがメインになり「バンド感(アイドルで言うならグループ感)」が感じられない。
(好きなアーティストのみ見続けたい人にはいいのかも)
ただし、好きなアーティストを見続けたい場合は、360度の視点移動が必要ない。
通常のカメラをメンバーの前に配置すればいいだけ。
結局の所、通常版PVありきのオマケみたいな扱いレベルかも。
(円盤購入者向けの特典としては成立するかな)
Q撮影する場所 複数台で撮影してスイッチング
●●サンプル●●
ジャンル ミクスチャー
アーティスト ドラゴンアッシュ
- 機材や規模など全てがプロ。
- 視点を変えると音がパンするなど拘りが見られる。
このクオリティの作品を2016年に作ったのに、業界は特に何も変わらず現在でも360度の視点移動は特に重宝されてはいない。
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業界的には視点移動可能な作品を作ったんだけど、なんか別にウケなかったから力入れるのやめましたって感じかもしれない。
ただこれは、2017年にPerfumeがやった海外3ヶ所から5G回線を使ってシンクロさせるライブみたいに、時代が付いてきてない時の作品だからって可能性も十分ある
(参考 https://www.youtube.com/watch?v=20NgC10C_VI)
2017年だと「5Gの通信ってなんじゃ?」
2020年「5Gすげー!!!」
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これと同じように、当時では時代の最先端を取り過ぎていて360度PVを流行らせる事が出来なかったとか。
複数台で撮影してスイッチング (小規模版)
サンプルに出したドラゴンアッシュはプロの規模で真似は非常に難しいため、 小規模でやった場合のサンプル
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●●サンプル●●(これは180度撮影)
ジャンル ロック
アーティスト名 Nothing’s Carved In Stone
- カメラのスイッチング
- 撮影が小規模
- 視点移動可能
場所含め規模感が小さいので、零細でも真似ができそう。
真似が出来そうではあるが、従来のPVに比べて「これを見たい」と思える出来ではない。
小規模のLIVEで複数台のカメラを使って360度撮影を行い、スイッチングも行った場合でもこれに近い「別にこれじゃなくていい感」が出てしまいそう。
カメラの配置に関して まとめ
360度の視点移動は視点をユーザーに任せるものであり、そのメリットを出す為には速いカメラワークが使えず、スイッチングの回数を減らすか定点撮影になりがち。
その為、定点で360度撮影をやってもLIVE動画やPVのカメラワークに比べると退屈な物を感じる。
また、自然の風景の動画と異なりLIVEやPVで見たい対象はメンバーであり、視点を移動させたいと思う事があまりない。
360度視点のメリットを活かす為には、ユーザーがどの視点の映像を見たいのかを把握する必要がある。
「ユーザーが見たい映像」に関しても、「ユーザーが視点を動かしたい」と思わせる何かが必要。
視点移動で得られるメリットが「通常版ならフレームアウトする推しメンをずっと見続けられます」とこれだけだった場合、だったら「推しメンだけを映した通常映像で十分」となりそう。
(推しメンのピンの撮影ではなく、LINEやPVで推しメンだけを映す映像)
360度の視点移動をメリットとして掲げる以上、「★★だから360度映像の方がいいんです!」と言った圧倒的なメリットが必要だが、今のところメリットとして挙げられる物が無いのが問題。
海中にカメラを突っ込み360度で魚を見る事ができる(視点移動で魚を追える)映像は楽しさを感じられたので、同じようなPVを作れば行けるのかな…?
ただしこれはメンバー数がある程度いないと成立しなそうだが。
通常のPVやLIVEを平面と捉え、360度を立体として捉えた撮影(構想)が必要かもしれない。
(上を向きたい、下を向きたい、後ろを向きたいと言った通常のLIVEやPVでは起こらない意思を産み出す映像の作り)
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